目の前にあるものをありのまま捉えるビデオと、光を捉えるフィルムは
根本的に目指している場所が違います。
僕はfilmをリアルタイムに体験していない世代の人間だからかもしれませんが
フィルムが捉えるのはビジョンではなく空気感のようなもので、特に8mmとなると
16mmや35mmより一層抽象的な絵になる為、使うべきポイントが限られてきます。
映画だと過去のプレイバックに使われたりしていますが、誰もが共通意識の中で
持っているレトロさがそうさせるのであって、8mmが映し出すのは抽象的な空気感です。
例えば、8mmfilmで東京の街中などを撮影すると、昭和っぽくなってしまいます。
それが狙いの場合はいいけど、なんかカッコ良いっていう感じではありません。
filmは自然との相性の良さを感じていて、木漏れ日や、海や、朝日を浴びた草木など
やはり抽象的なものによく合います。
抽象的といえば旅と8mmも合います。
無駄なものは全て省いてあるのがいいし(音収録が出来ないのがいい)
旅の思い出は、その方が心に深く残るものです。
鮮明なデジカメでは捉えられない、ある種「印象派のような8mmfilm」という画家の力を借りて
作られた映像も面白いです。