2011年11月10日木曜日

メイキングビデオ


最近、DVD制作のメイキングビデオを作りました。
メイキングとひとことで言っても様々なものがあります。
ストーリー仕立てになっているもの、淡々と撮影現場を見せるものもあります。

実話に基づく映画なら、どのように事実を掘り下げたのか?ストーリーを追うスタイルが浮かびます。
実際のモデルとなった人物に取材を行ったり、役者には実在の人物をどの様に演じているかを聞いたり。
アクションやCGをふんだんに使ったハリウッド映画なら、その撮影方法を追うスタイルで。
リアルな恐竜をどのように再現したのか?空を飛ぶシーンはどのように撮影されたのか?
役者達は、存在しないものを相手に何を意識しながら演技をしたのか?
ラブストーリーなら、どの様な街が舞台でどんなロマンスが生まれたのか。
僕なら台本を元に細かく細かく掘り下げると思います。そして恋愛なら誰もが感情移入しやすい部分をどう表現しているのか、制作スタッフから引き出してみたいです。
中には本編より面白いのでは?と思うメイキングもあります。
例えば「剣岳 点の記」のメイキングは、スケールの大きな風景と山あり谷ありの制作段階や監督の信念と、それを形にしようと奮闘する役者やスタッフの命を張ったプロとしての仕事が繊細に描かれていてとても面白く、メイキングだけでパッケージ化されていたくらいです。

今回僕が作ったメイキングの題材は宗教学の対談でした。住職が2人、その教えを3時間あまり黙々と語り合うといったものです。
現場では前日から椅子とテーブルが用意され、そこを取り囲むように黙々と照明がセットされカメラチェックが行われていました。

ただひたすら2人が語り合うだけの内容です。

さて、これをどうメイキング映像にするのか。
スタンバイからずっと撮り続けても、どうにもならないと感じました。
語りの内容に切り込んでいくのは、本編の役割なので違うような気がします。
しかも難しい宗教専門用語が飛び交っていたし、鎌倉時代から受け継がれた古き教えに切り込んでいくのは、本編制作陣に許された時間的余裕だと感じました。

一体誰を中心に描き、何を見せるべきか?どこが面白いポイントだろう?
悩んだあげく、今回DVD制作を手がける監督の視点から描くことにしました。

この題材をいかに理解したのか?難しい題材をなぜ対談という形で紐解くことにしたのか。
台本を作成する時、分かりやすく伝えるのにどんな苦労があったか。
構成案を練り、現場でカメラマンからもインタビューを貰いながら監督の視点で仕上げました。